【超古典】 第1章(29)
◆ 今回の重要単語
113 をさをさ
114 おほかた
115 うしろめたし
116 うしろやすし
四人で練習スタジオに向かう途中、交差点の信号を待っ
ている時だった。淳一が「実は、新しいドラマーに心当た
りがある」と唐突に告げた。
「たぶん大丈夫だと思う。その子が、ピュア・エイジに入っ
ても、をさをさうしろめたきことなし(ほとんど心配なこ
とはない)」
淳一の言葉に、奈美がかみついた。
「ほとんどって何よ?」
淳一は、一瞬、私の視線をうかがうと、言い換えた。
「ドラムの腕については、おほかたうしろめたきことなし
(まったく心配なことはない)。愛と奈美が、ライヴとか行って
いる間、その子と二人でスタジオ練習してみたんだ」
意外な言葉に驚いた。奈美も弘樹も言葉を失った。問い
ただされるのを遮るように、淳一が続けた。
「ドラムの腕は、いみじううしろやすし(とっても安心だ)。
上達するスピードは、なべてならず(普通じゃない)」
「それなら、何かうしろめたきことのある(何か心配なこと
があるのか)」
奈美が尋ねると、淳一は静かに言った。
「その子、身体が弱いんだ」
淳一は、意を決したように、私のことをまっすぐ見つめた。
「瞳ちゃんだよ」
⇒本書67ページ
(今回の重要単語の詳しい説明は、本書の66ページにあります。)
